ドラマだいすきクラブ

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多分オンライン上のほうが楽しい『ゆうべはお楽しみでしたね』

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個人的にはもともと恋愛ドラマが苦手ではあったけど、原作の恋愛未満の同居生活から付き合い出すまでの流れがゆるやかで心地よくて、ドラマ版ではそれがうまく再現できているとは思っていた。4話までは。

ドラクエ10の映像も吹替もとても丁寧に作られていて、なおかつ現実世界にまで侵入(?)するスライムのCGのミスマッチ具合が良くて、これは丁寧に作られているなあと感心していたのね。また4話における、些細だけど人を喜ばせる優しさに満ちたエピソードは観ていて本当に幸せで、それが芯にあったからこそ宮野真守筧美和子の不自然な演技が良いスパイスになっていたと思っていたの。4話までは。

そうなんだよね。実はこのドラマ、全6話。

そういうわけで5話から急展開になりました。もちろん原作と同じく主人公のパウさんに転勤話が持ち上がるのは想定内だったけど、制作陣が何を血迷ったのか、ヒロインのゴローさんの元カレを登場させ、彼氏が主人公に復縁の協力を要請し、パウさんが苦しみながらそれに応じるという始末。そして原作とは異なる形でパウさんの告白をピークに持っていこうとする展開。

どうなんだろうこれは?確かにこのドラマは原作以上のドラクエ感はある。彼氏の復縁は失敗し、パウさんの協力がゴローさんに露見したことで嫌われ、なおかつ出ていかれ、パウさんは原作以上のどん底に突き落とされた。でもその後に職場の仲間やその元カレ、そしてオンライン上の仲間に叱咤されて立ち上がるパウさんの姿はいかにもドラクエ的ではあった。絶望的な状況に立ち向かう姿は5とか11っぽさがあった。

でもこれでいいのだろうか?とも思う。確かにこのドラマ版がやっていることは30分ドラマ6本という尺に合わせた再構成で、なおかつ独自の道を突き進んでいて、それはある意味原作が大切にしていたゆるやかな愛の成就とは少し異なった、ドラマチックな結末を盛り込んでいる。

原作が成長とともに自分の気持ちに素直になって告白する展開だとしたら、ドラマは仲間に背中を押される形でゴローさんに告白に展開になっている。もちろんそこには多少の成長の跡はあるが、むしろ恋愛の起伏から一定の距離を置いた上でゆるやかな恋の成就を遂げることが「ゆうべはお楽しみでしたね」の大きな魅力だったのではないか。それが4話までは見事に再現されていたのだけど、最後の2話でドラマのテンプレに乗っかかってしまったように思えなくもない。

ただそれが悪いこと!と断じるのもまた難しくて、むしろこの改変を行ったからこそこの作品の魅力をうまく提示できた気もしていて、いまだにどちらが正しかったのか考えている。

とまあいろいろ書いたけど楽しかったです。CM含めて力作だったと思います。ドラクエ10やりたい。

ぴっち(@pitti2210

何も言わなくても伝わるもの『セックス・エデュケーション』第3話

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もし中絶した友人を迎えに行くことがあればサンドイッチと花束を持っていくのが良い、かもしれない。

オーティス「サンドイッチは?」
メイヴ「変な人ね」
オーティス「僕は序の口。ママは飛んでる。セックスの話についてばかり。"ヨニと私"というワークショップを開いてる。ヨニは女陰だ。ママはいつも変なことを聞いてくる。なんでも平気なんだ。イカれてる」
メイヴ「私のママは麻薬常用者。やめる気はあるけど成功しない。しばらく会ってない。兄がいるわ。面白い奴よ。でも落ち着いてなくてあてにならない」
オーティス「僕は」
メイヴ「気の毒に思わないで」
オーティス「わかった」
メイブ「その花は私に?」
オーティス「ああ。でも今はそんな時じゃない」
メイブ「いいじゃない好きよ。"ハッピー中絶"とは書いてない」

セックスセラピストの母を持つ童貞・オーティスと学校イチのヤリマン・メイヴがはじめたセックス相談クリニックで様々な生徒の性の悩みを解決してきた二人でさえ、中絶の後に語れることは何もない。できるのは他愛もない身の上話だけ。別に二人は付き合っているわけではないし、性的な関係があるわけでもない。友人ではあるかもしれないがむしろ仕事仲間の方がこの時点では適切だ。様々な偶然が重なることでオーティスは手術後のメイヴを迎えに行くことになったわけだが、むしろ何も言わないからこそ傍にいることが許されたのだと思う。メイヴの本当とも嘘ともつかないジョークがそれを暗示する。

多くの人のハイスクールライフがそうであると思うが、今の少し大人になった自分からするとしょうもないことで悩んでいたことは誰にでもあるはずだ。僕はむっつりだったけど恋愛は弱かったのでオーティスのように友だちと馬鹿なことを話したりゲームばかりしていたが、恋愛をしていた子たちも同じように恋愛のしょうもないことで悩んでいたのだろう。今になってそう思う。この『セックス・エデュケーション』で描かれるようなフェラチオや手コキのような実技的なことで悩んでいたかはわからないけど、どちらにしても今となっては笑い草でしかないはず。ひょっとしたらメイブのように笑ってはいられない生活を送っていた人もいるかもしれないが。

童貞なのに見様見真似のセックスセラピーを成功させるオーティスのように、話して悩みが解決するならそれに越したことはない。だけどそうではない時に核心については何も喋らず、何の関係もない話で相手に寄り添うことができる。それに冗談を返すことができる。そんな他愛のない会話劇をドラマというメディアで、しかもコメディとして見たのはそれこそ『木更津キャッツアイ』とか『フレンズ』以来だったような気がしてる。

 

あ、基本的には友人エリックと学校の集会で

エリック「元気か?」
オーティス「ひどいことが起こった」
エリック「ゼルダをセーブし忘れた?」
オーティス「セックスの夢を見た。メイヴと」
エリック「(大声で)やったぞ!」
(全員の視線がエリックに集中する)

みたいな騒動が次々に起きるお馬鹿なNetflix発のハイスクールコメディです。コメディだからこそ到達できる領域があることを思い出させてくれる作品だと思う。あとエリックをはじめとしてモブまでみんな超おしゃれ。どこを切り取っても最高なのね。

見るのが勿体なくてのんびり観ていたら、勧めたチャイさんがあっという間に抜き去っていきました。チャイさん、俺ようやく3話観終わったよ。今のところオールタイムベストです。

ぴっち(@pitti2210

2話目にして脇役がガチでやり合う『よつば銀行 原島浩美がモノ申す!』

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どうしよう?このドラマの感想を書いたところで絶対僕の周りの人は見ないと思うんだけど、あのね、2話目おもしろかったの。だって観る?銀行ドラマ。『半沢直樹』ほど作り込んでいるわけではないのだけど、でもよく見てみると主演の真木よう子以外だと寺脇康文塚本高史三宅弘城片桐はいり矢島健一柳葉敏郎古谷一行といった方々が脇を固めるというか、どうせ後半まで何もしないんでしょ?真木よう子といった台東支店の人たちとは絡むことなく、後半で徐々に動かす『ドクターX』的黒幕なんでしょどうせ?とか思ってたら

2話目で一気にぞろぞろ出てきました!!

2話目のゲストが里見浩太朗というまさかの水戸黄門様だったんだけど、それがどうでもよくなるくらい

寺脇康文VS相島一之

古谷一行VS柳葉敏郎

が火花を散らしていたのです。ギバちゃん、どう見ても『半沢直樹』の香川照之そのままで序盤は何もしないで汚い手使って失敗して悔しがってばかりだと思ってたら、いきなり火花散らしてやんの。燃える!もちろん真木よう子が主人公で活躍の場がないわけではないけど、もうなんかそれがどうでも良くなるくらい寺脇康文古谷一行!ギバちゃん!そして矢島健一様!!あなたを待っていた!!!

そんな気持ちにさせられるのです。まるで主人公以外が戦況を左右する『ONE PIECE』マリンフォード編のシャンクスように。今から第3話見ますね。

(追記)

3話は2話っぽかったです。菅原大吉が良かったけど、でも2話っぽかった。

ぴっち(@pitti2210

 

隠れオタクとしての苦しみを乗り越える『トクサツガガガ』

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3話まで観た。原作は未読。タイムラインで評判になっていたので気になって観たのだが今のところ掴みあぐねている。正直、つまらないと断定したい自分もいるのだが、2、3話と続けて観てしまい徐々にこの作品にやられている気もする。

主人公の叶(かの)は商社務めのOLで自分が特撮オタクであることを隠して生きている。20代の女子の特撮趣味が世間から許容される認識を持っておらず、同僚や母親には自らの趣味を晒すことなく生きている。一方で仲間と出会い、特撮について話すことの楽しさに目覚め始めている。特撮オタクであることが露見しそうな時、瞬時に脳内の特撮のキャラクターからの教えを受け取りピンチを脱出するのが毎回の山場だ。

自分は2話で30代の特撮オタク役の倉科カナ(好き)が出てきてから一気に楽しくなった。というのも1話の時点では叶は隠れキリシタンにしか見えず、ひたすら生きるのがつらいようにしか見えなかったからだ。ところが2、3話で倉科カナ、塾に通うダミアンこと寺田心、任侠さんことカミナリのまなぶくんが理解者として登場してから一気に楽になった。もちろんまだ主たる敵(世間、同僚、母親)は残されているのだが、少なくても叶がつらいだけの状態は脱したのでわりと安心して観ていられる。

それにしてもいまだに特撮オタクはここまで迫害されているのだろうか?というのも特撮、アイドル、アニメあたりがなんとなく立場が弱い印象がある一方で、SNSが普及した昨今においては彼らの洞察力を評価する動きもある。原作の連載開始が2014年だからまあギリギリそういう時代だったのかな?と思う。また自分は女でも特撮オタクでもないので叶の苦しみは理解できないのかな?とも。

しかし、ダミアンが通塾時に特撮のごっこ遊びを組み込むことで嫌な授業を乗り越えようとする姿はとても感動的で、この物語がニッチな題材に特化したものではなくより普遍的なものとして作らえていることがわかる。おそらく今後は自分の理想を押し付ける母親との対決も用意されていると思うので、より共感しやすい構造になるはずだ。

ところでこのドラマの倉科カナが少し老けて見えるのは敢えてなのでしょうか?確か31歳のはずだし役柄も30代のはずなのに40代の貫禄を感じるんですけど!ドラマ内ドラマだと60代の迫力があるんですけど!とはいえむしろどんどん好きになっているんですけど!

ぴっち(@pitti2210